先日第二種電気工事士の免状が届きました。
これでdiyで電気工事をすることができるようになりました。
今回は、私が電気工事士免許を取得するまでの勉強方法や使用した工具などの紹介をしていきたいと思います。
はじめに
diyで小屋づくりや庭造りなどをしていると、照明器具やスイッチも自分で設置したくなってきます。
電気主任技術者の資格を持っており理屈は分かるのですが、自分の家のdiyとはいえ何かトラブルがあってからでは遅いので、正々堂々と作業できるように電気工事士の資格を取りたいと思います。
電気工事士とは
住宅、店舗、ビル、工場などの電気工事を行うことできる国家資格です。
第二種電気工事士は600V以下の設備まで扱うことができるため、diyはもちろん、一般住宅であれば(通常は200Vまでしか使用していないと思います)第二種で十分です。
試験は筆記と実技
電気工事士の試験は一年に2回(上期・下期)あり、それぞれ筆記と実技があります。
最近の合格率をデータでみると筆記・実技共に6〜7割程度のようなので、難易度としてはそれほど高くなく、十分独学でいける範囲だと思います。
筆記試験に合格しないと実技試験を受けることができないのですが、私は第三種電気主任技術者の資格を持っていたので、筆記試験が免除され実技試験のみのチャレンジとなります。
技能(実技)試験の内容
持参した工具で、与えられた問題(配線図と施工条件)を支給される材料を使い、制限時間40分以内に完成させなければなりません。
〈配線図〉は事前に候補問題として13問公表されており、その中から出題されます。
この候補問題の13問についてはほとんど毎年変わってないです。私が練習中に確認した感じだと最近3~4年は一緒だったと思います。
ただし配線図は同じでも〈施工条件〉は公表されておらずちょっとずつ違ったりしますので、ご注意ください。参考書では、〈施工条件〉は過去問などを参考に各社独自に作成しているため、最新の参考書でなくても近年のものであれば練習には全く問題ないと思います。
私はこのような状況が分かっておらず、候補問題が公表されるのをひらすら待っていました。(実際は1月には公表されていたようですが、それに気づかず試験1ケ月半前位にやっと気づきました(;^_^A )
合否の判断基準について
合否の判断は、欠陥が1つでもあれば不合格というシンプルなもので、この「欠陥の判断基準」は公開されています。
以前は欠陥について、「重大欠陥」と「軽欠陥」の2種類があり、軽欠陥は2つまでは大丈夫だったようですか、平成29年度から今の基準に変更したようです。
便利な工具などで昔より素早くそしてキレイに仕上げるのが簡単になったということでしょうね。
欠陥についてはいろんなサイトや参考書で分かりやすく説明されているので、よく確認しておきましょう。
工具はどんなものを揃えればいいの?
工具については、指定工具以外も持ち込み可能であり、試験にはかかせない工具もあります。
私が実際に使用した工具や検討した工具についてはこちらで紹介しています。
材料はどこで買うのがお得か
工具の次は電線類やスイッチなどの器具を揃えなければなりません。
電線の再利用はできないので候補問題13問分の数量が必要ですが、その他の器具や配管などは全て使い回しで使用します。
私は電線を少し手元に持っていたので、ホームセンターで最小限のものを調達し始めたのですが、VV-Rなどネットでしか手に入らないものもいくつかあり、それほど割安にはなりませんでした。
材料を何も持っていなければ、「電線+器具類のセット」を購入した方がお買い得だと思います。
電線は練習回数分をまとめて買った方がお買い得ですが、特殊なもの(エコテーブルやVVR)を除けば後でホームセンターなどで買い足すこともできます。
私の経験としては、13問✕3回分練習できると自身を持って試験に望めるようになると思います。
実技の練習について
工具等を揃えたらいよいよ実技の練習です。
前述のとおり私は1か月半位前からのスタートでしたが、毎日少しずつでも時間がとれるようなら、この位でも大丈夫だと思います。(もう少し早い方が余裕ができるかもしれませんが)
参考書はどれを選べばいいの?
正直にいえば、この参考書が絶対にいいというのはよく分かりません。
私が実際に使用した2冊はこれです。
左は、合格した知り合いが使用していたもので、いろいろなサイトでおすすめされている参考書です。
DVDなども付いていて、確かに分かり易かったです。
右の参考書は後述する就業支援施設での講座で使用したもので、講座などで使用するくらいなので講師の先生方が数ある参考書から選び抜いているのだろう、と勝手に考えています。
2冊の参考書を使用していて気づいたのは、手順や芯線の剥ぎ取り長さなど細かい作業方法が違うということ。あたり前といえばあたり前ですが、結構迷う部分はありました。
正解を探るべくネット検索するとまた微妙に違っていたりします。
結局いくつかの方法から自分に合うものを見つけるということでしょうか。
私には就業支援施設で使用した参考書(右)が自分に合っている方法が多かったように感じています。
公立の就業支援施設などの活用
電気工事士資格を数年前に取った知り合いから聞いていたのが公立の就業支援施設の存在です。
私も県立の就業支援施設に9日間通い、費用は2,000円程度でした。
工具はもちろん、使用する電線類もすべて持ち込みのためこの金額なのですが、とても参考になりました。
スピードや技術力は練習することでしか成長していかないですが、自分の完成作品を客観的に判定してくれる人がいて意見をもらえるのは非常に助かります。
また、試験時のちょっとしたアドバイス(コツ)や疑問点などに答えてもらえるのも有難かったです。
ぜひお住いの地域の就業支援施設などを確認してみてはいかがでしょうか。
複線図の作成
実際の作業に取りかかる前にまず必要なのが、複線図の作成です。
コツは
「白・コン・ブ」
電源(N)をコンセントと負荷に接続
「黒・コン・スイ」
電源(L) をコンセントとスイッチに接続
「スイッチ・ブ」
スイッチと負荷を接続
この呪文を心で唱えながら何度も練習すれば、素早く複線図を書けるようになるはずです。
工具選びでも書いていますが、せっかく書いた複線図のとおりに間違えないで作業できるように「白」「黒」「赤」の線の色分けをしておくことをおススメします。
初めての作品づくり
複線図を作成できるようになったらいよいよ工具を使用しての作業です。
とりあえず、参考書やDVDで確認したとおりに、ストリッパーでの剥ぎ取りや輪作りなどの個別の作業を何回か練習します。
ある程度作業に慣れたところで実際にタイマーをセットして候補問題の1番にチャレンジしてみます。
そして結果は・・・
・・・50分弱かかりました。
さずがに40分以内ではできませんでしたが、欠陥になるような箇所もありませんでした。
しかし問題が分かっている状況でこの時間なので、かなり練習は必要なのかなと感じました。
私の練習方法
私は結果として、13問の候補問題を3回づつ練習しました。
具体的には次のような感じです。
1回目
13問の候補問題を順番に練習していきます。
難易度の違いもありますが、3・4問目には40分以内に作業できるようになり、13問をひととおり終わる頃には25~30分位で完成できるようになりました。
練習時に注意したいのは作業スペースの狭さです。
35×50cm程度の作業スペースしかないとの情報があったため、べニア板を切ってこの上で練習をしました。
実際の試験は長机に2人掛けで(会場によると思います)、完成作品を置くスペースとして先ほどの大きさほどのべニア板が置いてあります。
工具や材料をこのべニア板の脇に置いておくと確かに作業スペースはあまり広くはありませんので、狭いスペースでの作業には絶対に慣れておく必要があります。
2回目
2回目の練習は前述の就業支援施設でのものです。
生徒は20人程度で、13問の候補問題を1問づつ練習していくというものでした。
みんなで一斉に作業するため他の人の作業の様子なども確認でき、ひとりで作業を行うのに比べると試験に近い状況で練習できるのではと思います。
この時には既に30分以内には十分完成できる程度にはなっていたため、まわりの人よりもかなり早いスピードで作業できていました。
余った時間で輪作りの練習ばかりしていたので、輪作り名人になってしまいました(笑)
仕上がった作品も確認してもらい、概ね良好だったようで安心できました。
(自分で確認するだけでは見落としがないのか不安になります)
そしてこの施設での練習が終わるころには25分以内で作業できるようになっていました。
3回目
3回目の練習はより試験に近い状況にしたいと思い、少し工夫をしました。
それは作業直前まで問題が分からないようにすることです。
あらかじめ用意しておいた問題用紙からランダムに選びます。
材料表(左)と問題用紙(右)を表裏にしておいて、材料のみ確認できるようにしておきます。
そして材料の準備がすべて完了したあとで、問題用紙を開いてタイマースタートします。
電線以外は小棚に並べておいて、すぐに取り出せるようにしました。
この練習方法でより試験に近い状況で練習できたことで自信をもって試験に臨めました。
時間的にもミスがなければ25分以上かかることはなく、早ければ20分程度で完成することができるところまで上達しました。
最も気をつけたこと
気をつけなければならないことはたくさんありますが、その中で私が最も注意したことはこれです。
「電線切断時の長さ確認」
時間に余裕をもって仕上げられるようになると、ほとんどのミスはリカバリーできるのではと思います。
誤接続や結線時の欠陥などはもちろん、剥ぎ取りの長さを間違えたとしても時間があれば十分やり直しはできます。
しかし、最初の電線の切断で10cm以上短く配線を切断してしまうと、ちょっとリカバリーが難しくなります。
(私は練習中に40cmに切断しなければならない電線を25cmに切断し、なんとか作成しましたが、さすがに厳しい感じでした)
私は電線の切断にはあせることなく、細心の注意をもって作業することにしました。
試験当日
そして試験当日。
私は午前の部で、試験会場は家から原付で15分くらいのところです。
試験前に
手に工具を慣らしておこうと、1問だけ練習しておくことにしました。
時間も20分強で完了し、仕上がりも問題なさそうです。
工具と受験票をもっていざ出発です。
試験中
コロナ禍での試験だったので、もしかしたら長机を一人で使用できるかもと思いましたが、そんなことはなく2人掛けでした。
問題用紙が配られ裏側にして指示がありましたが、ちょっとだけ透けて見える状況でした。
材料確認で三路スイッチと露出型コンセントがあったので、およその複線図は頭の中で浮かんでいて、試験を開始する前に、配管切断までの段取りがイメージできました。
試験前にイメージできたことで余裕ができ、その後の作業も順調に進みました。
あれだけ練習したランプレセプタクルがなかったのは残念でしたが(笑)、難易度も易しいほうだったのかなと思います。
25分かからない位でひととおりの作業が終了しましたが、その後10分くらいは穴があくほど(笑)問題と完成作品を見直して試験は終了しました。
自己採点
筆記試験ではないので自己採点はできませんが、間違えなく受かってると思えるほどの感触はありました。
合格発表
インターネットで確認
合格を確認するべく受験番号を入力して進んでいくとこんな画面に
この「合格者一覧にあります」という表現がよく分からなくて、どこかに合格者一覧があるのか探しましたが見つからず、どうやら合格者一覧にこの受験番号がありますという解釈でよいということに辿りつきました。
「合格」とか「不合格」とか書いてくれたほうが分かりやすいと思うのは自分だけでしょうか?
何はともあれ「合格」しました。
免状が届く
合格後すぐに申請を行い、1か月以上待ってようやく免状とケースが届きました。
これで堂々と電気配線をDIYできるようになりました。
これで私の第2種電気工事士実技試験の体験談は終了です。
興味のある方は是非挑戦してみてください。
コメント
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